その街のこども
その街のこども・・・
こどもの頃に震災を体験し、いまは東京で暮らす勇治と美夏。
彼らは「追悼のつどい」が行われる前日に神戸で偶然知り合い、震災15年目の朝を迎えるまでの時間を共に過ごすことになる。
震災が残した心の傷に向き合うため、今年こそ「追悼のつどい」に参加すると心に決めていた美夏に対し、出張の途中に“なんとなく”神戸に降り立っただけだと言い張る勇治。
全く異なる震災体験をしたふたりの間には、大きな溝が広がっているように見えた。
しかし、“ある場所”に差し掛かったとき、美夏は勇治が長年抱え込んできた過去を垣間見ることになる。
復興を遂げた真夜中の神戸の街を背に、これまで語ることのできなかったふたりの想いが、不器用にあふれ出そうとしていた。
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ・・・
両親の訃報を受け、女優を目指して上京していた澄伽が4年ぶりに舞い戻ってくる。
自意識過剰な彼女は、自分が女優として認められないのは家族、とりわけ妹の清深のせいだと家族をいたぶる。
兄の宍道も澄伽には気を遣い、横柄にふるまう彼女によって一家の日常はきしみだしてゆく。